もっと旅を楽しく、自由に。ニッチな温泉にファンをつくりたい。
有名でなくても魅力あふれる場所は多い。ただ、既存の旅行会社や旅行系メディアは、有名観光地の情報発信や商品販売に注力しています。
この薄利多売の業界構造が、今の時代に合っていないのでは、と西岡さんは考えています。
「時代は、検索からレコメンド・セレンディピティへ移っていて、若い世代は、自分らしい、他の人と違う体験を求めている。それなのに、メディアなどから出てくる情報は有名どころのものばかり。もっと、自由に楽しい場所へ行けるはずなのに、もったいないと思うんです。」
そこで、「ニッチ ✕ 厳選・レコメンド」という領域に狙いをさだめ、「旅のロングテール」(少量の旅行者をニッチなところに送り、その地域のファンをつくり収益化する)というビジネスモデルの実現を目指し、2021年に学生起業しました。
「秋田県の秘湯、乳頭温泉の中でもさらに知られていない温泉にいったとき、『こんなところがあるのか』と人生観が変わる衝撃を受けたことが、温泉にハマったきっかけです。」
環境省の統計によると、約3,000ある温泉地のうちメディアに取り上げられるのは約1割でまだまだポテンシャルがある。
現在は、旅先で重視したいことを答えるだけで、ニッチな温泉からその人の好みに合ったオススメを紹介するサービス「温泉botくん」をメインに展開しています。
温泉好きのコミュニティをつくる。そこに向け、まずは、「レコメンドされた温泉が凄くよかった」という体験をたくさんの方に届けたい。
LINEというツールから、温泉地のレコメンドを受け取る、ということをフックに、温泉好きな若者たちのコミュニティをつくり、そこでの収益化を目指す。
「今のサービスだけでは、利用者がSNSで発信して終わってしまう。そこに横串をさし、旅マエで、温泉好きの若い世代が、『あの温泉よかったよ』『ここ行ってみたい』と交流し合うコミュニティを作ることで価値が生まれます。これは、自分らしい体験をしたいけど後押しも欲しいZ世代と、親和性が高いと思っています。」
このコミュニティづくり構想を掲げつつ、まずは温泉botくんの利用を増やし、「レコメンドがなければ絶対に出会えなかった温泉だった」という体験・ファンを増やしたいと考えている。
足元では、グローバルな大手企業や自治体との連携事業も進め、企業としての基盤は固めながら、やりたいことはブラさず、進んでいます。来年度、皆様も知っている大企業様との連携も進んでおりますのでどうぞご期待ください。
若い世代が訪れてこそ、地域にとって価値が高い。Z世代で、旅のロングテールモデルを構築する。
本来、温泉や旅行のボリュームゾーンは、もう少し高い年齢層。あえて若い世代に照準を絞るのは、
「若い世代に来てもらうことこそ、温泉文化や地域が活性化するし、未来に繋がる、と思っています。似たり寄ったりの情報にしか触れられない環境を変え、魅力あふれるニッチな情報を若い世代に届けることで、旅のロングテールのビジネスモデルを自分たちが実現し、広めていきたいんです。」
という強い思いからです。
「1つ1つの規模は小さくても、知られていない温泉地の魅力・価値は高い。そこをロングテールとしてやっていくことで、新しい価値を創り出せる、そう信じてやってきています。」
業界をアップデート・ゲームチェンジするというのではなく、この考え方があれば、もっと観光産業が盛り上がるはず。そんな信念をもとに、ニッチな温泉との出会いを日々、生み出しています。